わしも介護をやってみた!(10)イメージ。
七月十五日(木)。
歩行のおぼつかないお爺さんの両手を支え、「右、左、いち、にぃ、いち、にぃ」と歩かせ脱衣所から浴室に連れて行く。でもなかなかお爺さんは歩けない。かろうじて一歩が出ても微々たるもの。ぬるぬる滑りがちな床の上を、転倒だけはしないように四苦八苦して誘導する。
その入浴が終了したあと黒岩氏に注意をされる。
「ただ、いち、にぃ、いち、にぃと言っているだけではダメです。ちゃんと何処に行こうとしているか、何をしようとしているか伝えないと。例え痴呆の人でもそのことを明確に伝えると人は動いてくれるんです」
つまりイメージさせてあげる必要があるのだという。
更に黒岩氏は言った。
「あの○○さんってお婆さんいるでしょう。あの方車椅子で歩けない人ですけど、でもご本人に言わせると、短い距離で、何処までということが分かっていれば歩くことが出来るそうです。そのように、明確に何処に行こうとしている、何をしようとしているということが納得出来ていれば人は動くことが出来るんです」
なるほどと私は思った。
人はイメージすれば「可能な存在」なのだ。
(11) 男なのに に続く。
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