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山田太一の扉

作家山田太一さんの作品群は、私たちに開かれた扉ではないでしょうか。

わしも介護をやってみた!(8)ミーティング。

七月九日(金)。

さて昨日七月八日は一時間きっかりの予定でミーティングが行われた日でもあった。

新しい管理体制と非常勤新人の増加で仕事のやり方が不統一になっているという古株非常勤の突き上げがありこの時間が設けられた。

 

でも一日の業務の始まりから仕事内容を一つひとつ話し合って確認していたら、お昼までの確認で一時間を過ぎてしまい、後半のお昼から終業までは後日ということになった。それほど話はじめたらバラバラだったのである。

 

新人常勤職員とベテラン非常勤職員の、言葉は丁寧で優しいけど折々にあらわれる意地とこだわり、それは予測されたものの、ここまで不統一ということは後一時間やってもとてもミーティングが終るとは思えないと思う。

でもそれはそれで少しずつ進むしかない。

 

ところでこのミーティング中意外なことがあった。

あの不評ふんぷんの黒岩氏がまったく発言しなかったのである。かろうじて質問されて答える程度で、あの傲慢と評価される人物にしてはまったく発言を控えた態度を貫いたのである。

 

理由はミーティング後明らかになる。

 

ここで一人の人物を紹介しなくてはならない。

馬飼野さんと言う七十代の男性非常勤職員である。介護歴八年のベテランで、言ってみれば彼が非常勤職員の精神的かなめであり、理屈ではない介護を知る「生きた辞書」とも言うべき人物である。

 

馬飼野さんに対する信頼は厚く、あるパート女性などは私に「黒岩の言う事なんて聞かなくていいの、馬飼野さんの言うことだけ聞いてればいいの」と極言して憚らない。

馬飼野さんはそのような傾向を「女性たちは少し感情的になり過ぎている」と困惑している。

 

その馬飼野氏が昼間に黒岩氏に懇々と諭したらしいのである。

橘氏が辞めたこと。

そしてその前にも辞めた人がいること。それがどんな意味を持つのか。そういうことを馬飼野さんなりに語ったらしい。それ以上の詳細な内容は分からないが、そのことが黒岩氏の発言を控えさせる結果となったらしい。

 

ミーティング終了時馬飼野氏は言った。

「この『草のちから』(社会福祉法人。20ヶ所近い施設を営む)の会長は随分昔こういうことを私に言われました。この会では常勤職員は二十代の方しか雇いません。それ以上の年齢の方は非常勤職員として雇用しています。それは常勤職員には『介護の専門性』を期待し、非常勤職員には『人生経験に培われたもの』を期待しているからです。その両者のよりよき融合を私は願っていますと・・・・」

 

そう馬飼野氏は言い、更に「私は、このことをもう一度常勤職員の方々は考えていただきたいと思うんです。色んな人生経験を持った方が介護の現場にいらしている。そのことを生かす方向で考えていただきたいんです」と締めくくった。

 

会長なる方の職員の分け方意識には問題があるが、介護の現場には福祉を学んだ若者とパート女性と定年後の男性しかいなかった時代の話であろうから、そんなものかも知れないと私は思った。

それでも理屈ではない人生経験を介護の現場に持ち込もうという主旨には賛成である。そのことを生かす方向で職場も行かなくてはならないことは明白である。馬飼野氏はそのことをもう一度考える必要があると強調していた。

 

ミーティングが終った時すでに時間は二十分もオーバーしていた。早々に会議は終了し、その日勤務でなかった者で会議だけ残業時に参加した者もおり、あたふたと次の予定に向けて一同は解散した。

 

でも帰りしなにセンター出入り口で非常勤組の女性と馬飼野氏の立ち話(ミーティング二次会?)がはじまり、なんとそれから一時間以上も続いてしまった。

やはり常勤職員の妙なエリート意識が匂うところに問題の根っこがあり、黒岩批判が花開く。三ヶ月前まではこんなじゃない素敵な職場だったのよと嘆く女性の方が、こんな時に入ってきたあなたは本当に可哀想などと同情されたりして、さてさて、これからどうなっていくのかと思う私である。

 












9 黒岩氏のこと に続く。
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