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山田太一の扉

作家山田太一さんの作品群は、私たちに開かれた扉ではないでしょうか。

減点パパ

 

「減点パパ」

 

 

NHKで「お笑いオンステージ」というバラエティ番組があり、中に「減点パパ」というコーナーがありました。

 

 

著名な方とか、芸能人のご子息が出演して、まだまだ幼いお子さんたちが、お父さんが家庭ではどんなパパなのかということを、喋る番組です。

 

 

まず最初は、ご子息たちが登場し、司会の三波伸介が、お父さん(お母さん)はどんな顔か聞いて行きます。

眉が太いとか、メガネをかけているとか聞いて、三波伸介が大きな紙に似顔絵を描いて行きます。

三波伸介は絵がうまく、結構似た顔になります。

完成したらパパ登場です。

 

 

 

その番組に、山田さん親子が出演されました。

山田さん一家ではありませんが、こんな感じの登場です。

 

ご長女はまだ小学校高学年か中学生になりたての頃だったと思います。

妹さんは幼稚園か小学生、

一番下のご長男は、まだ歩けない赤ん坊。

 

 

そのお子さんたちの話によると。

山田さんはいつも一日の仕事を終え、2階からリビングに降りてくると

 

「げんかいだあー」

と言ってごろんと横になるとか、

 

子供達に昔話をしてくれるのだけど、どこかアレンジがしてあって「舌切り雀」などは、おじいちゃんのつづらには、玩具のスーパーカーが一杯入っていたとか、

「百獣の王ライオンは、我が子を谷底に突き落とす」という話を言い間違えて「谷底から突き落とす」と言ったとか、楽しいエピソードが一杯でした。

 

 

ある時、山田さんがデパートの屋上で、お子さんたちを遊ばせていたら、お婆ちゃんが話しかけてきて、「しっかりやるんだよ」と励まされたということがあったそうです。

失業したお父さんが、子供をつれて来て遊んでやっていると思われたらしい。しかも、お婆さんは、山田さんが屋上から身を投げるのではないかという危機感を持っていた。

お婆ちゃんの想像力も凄いけど、そのような雰囲気を少しでも出していた山田さんも凄い。

 

その話の間、一番下のご子息は赤ちゃんなので、当然喋ることもなく、ご長女の膝に乗っかっていたのだけど、長時間の収録に飽きちゃったのか、突然「はあ」と、大きなため息をついて、それが絶妙のタイミングで、あ、つまんなくなっちゃった?と三波伸介が慌ててフォローして、どっと会場が笑いました。

 

まあ、そんな、楽しい番組でした。

 

1973年か74年くらいの放送だったと思います。朝のテレビ小説「藍より青く」が終り銀河テレビ小説「風の御主前」なんかを書いておられた頃で、NHKへの貢献があっての登場だったでしょう。

後年「チャンネル銀河」で「減点パパ」が再放送されていましたが、山田さんファミリーまでは出て来ませんでした。

 

 

 2020,9.10

 

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